コラム

2020/06/10

コードネームは「白鳥」(埼玉・YM)

コードネームは「白鳥」


▼新型コロナウイルスの世界的感染で、東京五輪が2021年に延期となり、もう3カ月がたとうとしている。大会関係者は「来年は必ず開催」と息巻くが、果たしてどうなるのか


▼東京五輪のトライアスロン会場となる東京湾で、基準値を超える大腸菌が検出され、競技ができるかどうかが問題となった。東京では雨水と汚水を一緒に流す合流式が約8割を占め、大雨が降ると汚水がそのまま東京湾に流れるためだ。関係者は徹底浄化を強調するが、世界から選手が集う競技会場にふさわしいのか疑問だ


▼都市開発において下水処理は、最優先で考えなければならないインフラだが、軽視されがちなインフラでもある。都市全体の下水処理能力を考慮しない乱開発や人口流入は、都市全体の機能を停止させ得る。例えば昨年の台風19号でタワーマンションの悲劇が報道されたことは記憶に新しい


▼個々の開発では下水について設計するだろう。しかし視点を高く持ち、都市全体の下水能力を把握して開発する民間企業は少ないように思う。やはり下水道事業を管理する行政が都市全体を見渡し、都市開発に関する規制や条件設定などに乗り出すべきではないだろうか


▼全ての物事には土台がある。人間なら足だし、勉強も仕事も基礎を理解しないと応用が利かない。都市なら下水が土台に当たる。どんなに素晴らしいビルであっても、下水処理がままなければ誰も利用しようとはしない。都市計画は白鳥のように、地上部は優雅に、地下では、しっかり下水処理する仕組みが本来あるべき姿だろう。まずは下水整備から、そして立派な都市を築こう。(埼玉・YM)

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