コラム

2020/07/08

前向きな女性たちの言葉(新潟・CY)

前向きな女性たちの言葉


▼「一昔前と比べると、ずいぶん良くなった」。トイレの話である。建設業に従事する女性たちと談笑していて話題に上った。昔はグラグラ揺れるし臭うし。快適トイレは好評だ。実際に河床掘削の現場で中をのぞかせてもらった。車載タイプだったが臭いもなく、清潔感があって驚いた


▼女性定着に向けた各種アンケートでは、トイレはもとより着替えや休憩スペースへの要望が連なる。こんな訴えがあったそうだ。「女性のトイレを男性が利用している」。由々しき事態だ。不穏な空気になるかと思ったが、さにあらず。「いやいや男性も女性も、きれいなトイレを使いたいよね」。居合わせた女性たちの反応は、こちらの危惧とは大きく異なっていた


▼寛容さとも違う。男女問わず同じ目的を持った仲間として尊重し合える、気持ちの良い環境が大事だということだろう。アンケートの主は本当に不快な思いをしたのかもしれない。一方で、その現場の男性トイレは女性のものと同じように快適だったのだろうか。快適トイレの定義は「男女ともに快適に利用できる」だが、全体を見渡せばまだまだ少ないのが現状だ


▼「トイレに限らず若者たちがスーツで現場入りして、さっと作業着に着替えて、終わったら颯爽(さっそう)とデートに行けちゃうのが理想だし、当たり前になればいい」「男性、女性と分けるのではなく、この業界に入職してくれた人たちみんなに定着してほしい」


▼彼女たちの言葉はどれもポジティブですがすがしい。決して楽な道ではなかったはずだ。さりとてこうした言葉が仕事の面白さも人生の機微も知らずして、発せられるはずもないだろう。(新潟・CY)


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