コラム

2020/07/18

医療崩壊は世界崩壊(群馬・TH)

医療崩壊は世界崩壊


▼コロナ禍による医療機関の経営難が深刻になっている。日本医療労働組合連合会の集計によると、2020年の夏のボーナスを昨年に比べ引き下げる医療機関が全体の約3割に上る。「外来患者や入院患者数の減少」「感染予防対策のための諸経費や人件費の増加」などが原因。東京都や大阪府など、新型コロナウイルスの患者数が多い都市部で目立っている


▼連合会に加盟する228機関へ行われたアンケート調査では、ボーナスを引き下げるとしたのが115機関となった。うち、2機関は全く支給しないと答えた。仮に自分が医療現場で働く人間であったら、絶望するだろう


▼4月7日、連合会は医療崩壊を防ぐための対策を厚生労働省に要請した。項目の中には「医師・看護師・介護職員などの大幅増員」が挙がっている。アンケートの結果を見ると、要請とは真逆の結果が生み出されているのは小学生でも分かること


▼人類の歴史は戦いの歴史とも言われる。これまでに世界各地で多くの人命を奪い合う戦いを繰り返してきた。今まではヒト対ヒト。新型コロナウイルスは人類が相対したヒト以外の共通の敵とも言える。世界的パンデミックが宣言された昨今、この認識は言い過ぎではないはず


▼戦いに勝つための基本は数だ。最前線で歯を食いしばり、汗を流して戦っている医療従事者への待遇を悪くするなど、あってはならない。新たな敵から勝利を勝ち取るには、公金を投じてでも、医療現場で戦う戦士たちの英気を養い、維持すべきだ。医療従事者への称賛や激励の声こそあれ、批判や差別の対象になることなど、決してあってはならない。(群馬・TH)


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