コラム

2020/08/04

譲り譲られ幸せに(山梨・OS)

譲り譲られ幸せに


▼先日、会社が入居するビルに入ろうととしたところ、出入口で人とばったり会った。お互いに「どうぞ、どうぞ」と譲り合い、ではお先にと通ろうとすると、相手も通ろうとして、また譲り合う。タイミングの悪さに二人で笑ってしまった。ちょっとした出来事だが相手の気遣いが感じられ、気持ちが和んだ


▼これまでにも何度か似たような経験はある。同じタイミングで店に入ろうとしたときに、こちらが先に入るのを待ってくれる。相手が優先の道路で快く譲ってくれる。レジに並んでいたら、前のおばちゃんが「昼休み、あまりないんでしょ」と順番を代わってくれたこともあった


▼日々生活していれば、われ先にと気持ちがはやることもある。スーパーでレジに並ぶと周りの列の進み具合が気になる。そういう時は大抵自分以外の列がスイスイ進む。運転中、少しでも先に行こうと無理なタイミングで車線変更。気付けば追い越した車とほぼ同じ位置にいたりする


▼中国の古典に「終身路(みち)を譲るも、百歩を枉(ま)げず」という言葉がある。生涯他人に道を譲り続けても、それにより余分に歩く距離は百歩にも満たないという意味。譲ることによるロスはささいなもの。むしろ譲ることで譲られた側はもちろん、譲った側も幸せな気持ちになれ、心を元気にしてくれる


▼今新型コロナウイルスにより厳しい状況に置かれている人は多い。そうした弱っているときに思いがけず出会う、人の思いやり。譲る側は気軽にしたことが、譲られた側には大きなことに感じられることもある。「お先にどうぞ」で幸せに。譲り合いが増えることで円満な世の中になることを願う。(山梨・OS)


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