コラム

2020/08/22

大きな堤防に守られて(東京・KK)

大きな堤防に守られて


▼巣ごもり生活が長く続いたせいなのか休日になると運動しなければならないという思いに駆られる。激しい運動はとても無理なので、近くを流れる荒川の土手を散歩するのが最近の定番だ。個人的な「新しい生活様式」を始めてみて分かったのは、早朝からジョギング、ウオーキング、犬の散歩をしている人が非常に多いということだった


▼人につられて動物もというわけではないだろうが、6月には同じ場所に突如として野生の鹿が出現した。ニュースでも話題になったが、捕獲後は千葉県市原市の動物園に移送され「ケープくん」と名付けられた。「エスケープした鹿」が名前の由来だという


▼現場となった荒川の河川敷は高規格堤防であるため、とにかく広い。いわゆる「スーパー堤防」として、公園や野球場をはじめとするスポーツ広場も整備されている。今年は残念ながら中止となったが、都内で最も早く開催される花火大会の観覧場所としても有名。昨年の大型台風の際には堤防の水位が徐々に上昇し危機感を覚えたが、越水することはなかった


▼高規格堤防の大きな目的は、計画規模を超える大雨が発生した場合でも堤防の決壊を防ぎ、沿川市街地を洪水から守ること。政権交代に伴う事業仕分けで事業が一旦廃止された後、新たに「人命を守る」ことを最重視する観点から整備区間の見直しが行われた


▼近年頻発する豪雨により、全国各地で未曾有の被害が生じている。「エスケープ」を手助けするソフト対策は重要だが、それは最低限のハード整備があってこその話。命を守るためにも、必要な事前防災を着実に進める「シカ」ない。(東京・KK)


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