コラム

2020/08/25

赤くて綺麗(きれい)な花を求めて(埼玉・YM)

赤くて綺麗(きれい)な花を求めて


▼たまたま入った盆栽美術館がきっかけで盆栽に興味を持ち、五葉松と赤花長寿梅の寄せ植えを育てている。試行錯誤の連続で、水やりの加減を間違えれば、たちまち葉の色が変わってしまう。長い梅雨による日照不足にも悩まされた


▼梅雨始めに梅酒を漬けた。作り方は梅、焼酎、氷砂糖を適量用意し、ガラス瓶で寝かすだけ。熟成までには半年程度かかるが、完成後は賞味期限がないので長く楽しむことができる。梅酒で一杯やるのが今から楽しみだ


▼梅雨明けの夏には鰻を食べる人が多い。うな重の等級を松竹梅で表す場合がある。最上級が松の場合もあれば、梅の場合もある。松竹梅は慶事を象徴する3種を組み合わたもので、優劣を表していないからだ。ちなみに鰻の旬は冬。夏に鰻を食べる慣習は平賀源内が考案した


▼漫画「るろうに剣心」で「春は夜桜、夏には星、秋には満月、冬には雪。それで十分酒は美味い(うまい)。それでも不味い(まずい)んなら、それは自分自身の何かが病んで(やんで)る証拠だ」という台詞(せりふ)が出てくる。心身の健康は「いかに趣味を楽しめているか」で推し量れる。四季を味わえるぐらいの心の余裕が、人生には大切だろう


▼人は他人と優劣を比べがちだが、松竹梅のように個人間に優劣は存在せず、個性があるだけだ。健全な比較は、現在の自分と理想の自分とだろう。理想の自分に届くには、梅酒のように半年とはいかず、半世紀以上かかるかもしれない。理想を求める道のりでは苦難が何度も訪れるからこそ「咲かない花はない」と心の余裕が欠かせない。厳冬期を越えた赤花長寿梅が、春には赤くて綺麗な花を咲かせるように。(埼玉・YM)


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