コラム

2020/09/08

外食産業の苦境(茨城・TI)

外食産業の苦境


▼先日、週に1回、多い時は2~3回行っている中華料理店で、いつもと同じ物を注文して食べたのだが、一口目で「何か違う」と言葉にできない微妙な変化を感じた。気になって帰り際に厨房を見てみると、いつもいる店主がいなかったのだ。翌週、また行こうか悩み、「ええいままよ」と入ってみると、その日は店主がいた。いつもの味に「これこれ」と箸も進んだものだ


▼このご時世、その店も持ち帰りや弁当のサービスを始めた。店内には仕切りが置かれ、ソーシャルディスタンスにも配慮されている。他の飲食店でも同様の光景を見かける。外食産業全体で生き残りへの苦心がうかがえる


▼2020年8月26日付けの読売新聞1面で紹介されていた、客席がない料理店「ゴースト・レストラン」。持ち帰りや宅配のみで、自宅で本格的な料理を楽しめるため、昨今の情勢も相まって売り上げを伸ばしているという話だ。中食産業の発展は消費者としては選択肢が増えるためうれしいのだが、きっかけを思うと複雑である


▼宅配といえば、初任給でやることの一つとして決めていたことに、宅配ピザを注文し、一人で食べきるというのがあった。実際にやった。おいしかった。達成感もあった。いまでも宅配ピザを頼むことはあるが、自分にとっては変わらず「ごちそう」だ


▼持ち帰りや宅配の躍進とともに、外食産業の苦境を思うと、今後も同じ食生活は難しいのではと危機感を覚える。いつもの店を利用しながら、たまの「ごちそう」を楽しむのがちょうどいいのだが、どうなることやら。微妙な味の変化が分かるうちは、いつもの店に通い続けたい。(茨城・TI)

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