コラム

2020/10/15

花火大会前夜の白菊(新潟・KW)

花火大会前夜の白菊


▼新潟県長岡市の長岡まつりは毎年8月1日から3日にかけて開かれる。2日、3日の両日に花火2万発を打ち上げる大花火大会は日本三大花火大会の一つだ。県内外はもとより近年は花火目的の外国人旅行者も多く、来場者は2日間で100万人を超える。この祭りは1945年の長岡空襲からの復興を願い、46年から始まった戦争復興祭を起源に持つ


▼歴史ある花火大会の中で人気の花火は「フェニックス」という花火だ。2004年に発生した中越地震をはじめとする自然災害からの復興を祈願するもので、全長2kmにわたり一斉に花火が打ち上がる。視界いっぱいに輝きが広がり大歓声が上がる光景は圧巻だ


▼長岡まつりが夕方のニュースで取り上げられ、祭り初日に打ち上げられる花火玉、通称「白菊」という花火を紹介していた。白菊は花火大会の2日・3日ではなく、長岡空襲が発生した8月1日の午後10時30分に上がる


▼ことしは新型コロナウイルスの影響で大会は中止となったが、白菊は時刻通りに大輪の花を咲かせた。静かな夜空にパッと花開き「どーん」と大音が鳴った後、また辺りは静寂に包まれる。初めて白菊を知ったのがこのニュース番組で、それも車内の小さなモニター越しだったが、自然と涙が出ていた。見た瞬間に細胞が反応するような感じだった


▼時々、大切なことを忘れそうになる。つらい時や苦しい時はたくさんあるが、家族がいて、仕事があって、健康に働けていることがどれほど幸福なことか。白菊を思い出すだけで生きる気力と働く力が湧いてくる。何事も一所懸命にやらなければ先人の方々へ申し訳が立たない。(新潟・KW)


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