コラム

2020/11/12

あなたに関係ありますか(群馬・TH)

あなたに関係ありますか


▼有名アスリートや俳優など著名人の不貞行為が話題となることが多々ある。週刊誌を火種とし、ネットニュースやワイドショーへと飛び火。事の経緯や状況を事細かに報じる。罪人としてつるし上げられた当事者は、会見やコメントで関係者やファンに謝罪、活動自粛までが一連の流れだ


▼こうしたニュースを見るたびに不思議に思う。なぜ、赤の他人同士の不貞行為にここまで関心があるのか。著名人が不貞を働いたからといって、自分の貯金が減るわけでもなければ、仕事に悪影響もない。家族や親しい人が関わっているならば、怒ったり悲しんだりするのもうなずけるが、多くの人にとってそうではないだろう


▼不貞をつるし上げる心理を考えてみた。まず、不貞を攻撃することで、自分は「悪」ではないと主張する気持ちが思い当たる。次に、当事者がうらやましいといったねたみ。スポーツや芸能などで成功しつつ、良きパートナーがいる。こういった他人の幸せが許せない。隙を見せようものなら、袋叩きだ


▼最も質が悪いのは日常の怒り・不満のすり替えによるもの。自分が被害者のように振る舞い、謝罪や活動自粛に追い込むまで、攻撃の手を緩めない。一見すると正義感からの行動にも思えるが、多くは単なる憂さ晴らし。SNSが普及してことで、誰もが「私刑執行」に携われる


▼心理学の専門家ではないが、当たらずといえども遠からずといったところか。不貞は不道徳な行為だが、犯罪には当たらない。ましてや、公共の電波で延々とつるし上げるようなものでもないだろう。やっていることの本質は小学生のいじめと大差ない。(群馬・TH)


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