コラム

2020/11/13

ものすごい仕事(新潟・CY)

ものすごい仕事


▼超ロングリーチのバックホウが浚渫(しゅんせつ)する。この様子を川上から水面を舐めるように近づき、高々と上がったドローンが切り取る。重機は通称キリン。腕の長さは15・6mもあるという


▼令和の大改修の異名を持つ、大河津分水路改修事業の動画の一部だ。全体事業費はおよそ1200億円。信濃川の水を日本海に流す放水路が狭くなっており、洪水処理能力の不足や、床固の老朽化で洗堀が進んでいる。このため、左岸の山地掘削で河口を広げ、それに伴う橋の新設、床固の改築を行っている。先の動画のように、進捗をSNSで発信しているのだが、これが面白い。プロに委託しているのかと思ったが、職員が担っているそうだ。ICT導入で丁張がない掘削現場や、巨大な鋼殻(こうかく)ケーソンを曳航(えいこう)する様子。「日本最大級」の文字がそこここに踊る


▼ダイナミックな現場だが、投稿は端々に人の存在を感じさせる。例えば潜水士。橋脚工事で水中溶接や河床を確認する。約15㎏の重りを付け、送気ホースでコンプレッサから空気を送る。地上とのやりとりはなんと拡声器!?だとか、「新潟に来て6年、コシヒカリが大好物」だとか


▼工事の解説に特化した施設もある。コンシェルジュが常駐し、まるで現場にいるかのようなAR画像を体験できる。仮設階段を登れば、眼下に工事を見渡せる。特に子どもたちが夢中になっていたのはアーチ橋の積み木だ。仕組みを聞かれて、しどろもどろ


▼目の前にある小さな積み木をまじまじと見る。自然の理(ことわり)をもって、想像を絶する巨大な建造物を、事故なく、人の手で造りあげる。かえすがえすも、ものすごい仕事だ。(新潟・CY)


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