コラム

2020/12/04

境界を越えた関係(群馬・YY)

境界を越えた関係


▼先日、群馬と埼玉、栃木の3県境を訪れた。3県の境界が一点に交わる箇所は、全国に40カ所以上あるが、いずれも河川の中や険しい山岳地帯にあり、到達が難しい場所にある。関東平野のただ中に立地する群馬県板倉町と埼玉県加須市、栃木県栃木市の3県境は、容易に訪れることができる唯一の存在となっている


▼北側にある道の駅かぞわたらせに車を停め、徒歩で2~3分。途中各所に案内板が設置されており、迷わずにたどり着くことができた。周囲に住宅が点在する水田地帯にある3県境はY字状の水路の分岐点に当たる。中心には3県境界を示すプレートが設置されていた


▼2016年2月の境界画定をきっかけに3市町が連携をとり、3県境の観光地化への取り組みを進めてきた。18年4月には、用地を取得し、3県境へ至る遊歩道を共同で整備している。記念スタンプやベンチなども設置された。訪れた日が日曜日だったということもあり、数多くの観光客の姿が見られた


▼3県境もかつては、渡良瀬川と谷田川の合流点に立地し、到達が極めて困難な場所にあった。流路が蛇行していた渡良瀬川では、たびたび洪水被害が発生。1910年から河道の付け替えに着手し、足掛け8年を経て完成した。後に旧河道は農地となり、3県境が現在の姿となった


▼利根川や渡良瀬川が流れる3市町は防災上も協力関係を深めてきた。また、茨城県古河市と栃木県小山市、野木町を含めた6市町で「関東どまんなかサミット会議」を構成。公共施設の相互利用などを実施している。3県境とともに魅力ある地域づくりに注目していきたい。(群馬・YY)

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