コラム

2020/12/11

人材育成が、簡素の一歩(埼玉・YM)

人材育成が、簡素の一歩


▼県内大手企業に在籍する現場代理人に「何が一番大変なのか」と質問したことがある。すると「現場はもちろん大変だが、提出書類がたくさんあって、作成に多くの時間がかかる」と答えてくれた。現場から事務所に戻り、報告書類を作成するため、場合によっては休日や深夜まで仕事をするそうだ


▼書類簡素化について、業界団体と県は定期的に意見を交換している。企業からは「国と県で提出書類が違う」「書類作成の負担が大きい」「現場に入らないと分からないことが多い。特記仕様書を充実させてほしい」「県職員はもっと現場を学んでほしい」などの声が相次ぐ


▼「本当に必要な書類かどうか」は、行政の経験と技量が問われてくる。企業の声を全て聞くわけにもいかず、かと言って従来の方法を踏襲していては発展がない。さらに総論賛成、各論反対ではいつまでたっても話が前に進まない。互いが互いの利益ばかり主張していては、まとまるものもまとまらない。どこかで歩み寄りが必要だ


▼「ハードウェアに頼って戦争に勝った試しはない」は小説・銀河英雄伝説の一文だが、仕組みがどれだけ優れていても、扱う人で結果は大きく変わってしまう。つまり、仕組み作り以上に、仕組みの運用と継続ができる人物を育てることが重要なのではないだろうか


▼担い手不足の問題は、さまざまな場面に影を落としている。経験や技術の継承がままならなければ、企業も自治体も各書類の必要性は判断がつきかねるだろう。書類簡素化は仕組み作りも大事だが、建設業界内で適切な判断ができる人材の育成・確保が求められているに違いない。(埼玉・YM)


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