コラム

2020/12/15

三人寄れば文殊の知恵(群馬・TH)

三人寄れば文殊の知恵


▼冬が深まり朝晩の冷え込みが厳しくなってきた。思い返せば、昨シーズンは暖冬で、記録的な少雪となった。除雪の出動が極端に少なく、山間部の建設業は苦境に立たされた。地域を襲う大雪に備え、大型重機とオペレーターを抱えている業者にとって、出動回数は死活問題となっている


▼こうした天候に左右されるリスクを回避するために、富山県で新たな金融商品が生まれた。三井住友海上火災保険が、地元の富山県建設業協会と協力し、会員の除雪業者向けの「少雪デリバティブ」を開発。出動の目安となる降雪量の日数が基準より低かった場合に、その減収を補填(ほてん)する仕組みだ


▼富山県専用の商品で1口10万円、最低3口からの加入となる。少雪時に1口当たり20~50万円を受け取れる。県内を5つの区域に分け、それぞれで基準となる日数を設定、降雪量10㎝以上の日が基準日数より少なければ支払いの対象になるという


▼持続可能な除雪態勢を維持するための画期的な商品だと感心した。さらに驚いたのは、開発のきっかけだ。三井住友海上は富山県土木部からの相談を受けて開発に着手。実際に除雪作業を行う県建設業協会と話し合いながら商品の内容を練った。地域の課題となっている天候リスクの解決を目指して、官民が連携して取り組んだ結果、この商品が誕生する


▼全国的に同様の課題に頭を悩ませている自治体は多いだろう。群馬県も例外ではなく、県と県建設業協会の意見交換会などで、対応方法が議論されている。「三人寄れば文殊の知恵」、行政と業界に、もう1者を加えることが解決の糸口になるかもしれない。(群馬・TH)


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