コラム

2021/01/07

ハード対策に頼ってもいい(山梨・OS)

ハード対策に頼ってもいい


▼かつては治療が難しいとされていた病も医療の発展と共に克服してきた。自然災害についても人類は対策を考え、被害が出ないように努めてきた。簡単に計れるものではないが、その対策のおかげで被害は軽減されてきたはずだ


▼ただ時代と共に自然災害も大幅に威力を増した。ある時期から急激に力を付けたのか。それとも徐々に力が増してきたが対策が追い付かなかったのか。いずれにしても自然災害を食い止めるに至っていない


▼2019年12月、国・県の土砂災害対策の担当者による、伊勢湾台風を振り返る講演会があった。山梨県は全国でも比較的災害が少ない地域。しかし1959年のこの台風による県内の被害額は、当時の県の土木予算の10倍に当たる100億円を超えた。現在の価値で5000億円にもなる大災害。洪水に飲み込まれた集落を高台から見つめる当時の写真も紹介されたが、ただただ恐ろしさを感じた


▼「今だったらここまで大きな被害にはなっていない」。講演した担当者はそう言い、今同じような台風が来ても大きな被害は出ないだろうと予測した。被災して以降、数多くの砂防堰堤を造り、河川も整備。崩落箇所もつぶしていった。こうした地道な対策の結果、当時の降雨量は問題としないレベルに県土は鍛えられた


▼ただ自然災害も当時より大きな力で迫っている。ソフト対策の重要性を説く向きもあるが、単純に「もしあの川が決壊しなかったら」とは思う。ハード対策は未来への投資。いつの日か「かつては被害が出たが今は~」と言われるよう、行政と建設業者が力をフルに発揮して国土を鍛え直すときだろう。(山梨・OS)


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