コラム

2021/02/02

百日の説法屁一つ(群馬・TH)

百日の説法屁一つ


▼石川県にあるとある学校の校舎や寮の壁から産業廃棄物が見つかった。石こうボードの端材や廃材、使用済みの軍手などが壁の中に隠されており、その量は2tトラック1台分。現場の写真とともに、大きく報道され話題になった。設計・施工を請け負ったのは大手ゼネコン。学校側は、廃棄物の撤去費用や仮校舎の建設費、生徒の宿泊費など約50億円の損害賠償を求める訴えを起こしている


▼施工者は「石こうボードの端材の残置について発注者側との合意により行ったものであると認識している」とコメント。主張通りであれば、学校側が壁材の中に産業廃棄物を隠すように指示した、あるいはそうすることを承諾したことになるが、非常に考えづらい。百歩譲って、学校側から指示を受けたとして、指示通りにしてよいものだろうか


▼逆に、大手ゼネコンである施工者が、より利益を出すために行ったとすれば、ハイリスク・ノーリターンな節約方法といえる。施工者のメリットが皆無で、合理性に欠ける。組織ぐるみでの行動ではなさそうだ


▼想像力を膨らませると、リベートやキックバックなど不穏な考えも浮かぶ。はたまた、壁材に産業廃棄物を隠す行為が、当時の業界では流行していたのかも


▼こうした不祥事による影響は、受発注者間では収まらない。地域や業界へも波及する。現にインターネット上では、この件について、施工者を非難する声が多く、建設業界全体への不信感も散見される。「百日の説法屁一つ」。業界を盛り上げようとどんなに素晴らしい仕事や活動をしていても一つの不祥事で信頼を失ってしまう。(群馬・TH)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら