コラム

2021/03/17

言葉の理解は冷静に(東京・CK)

言葉の理解は冷静に


▼DHMOという水酸の一種である物質がある。この物質は無味無臭であり、古くから工場で大量に使用されてきた。DHMOは、酸性雨に多く含まれているほか、温室効果をもたらすとも言われている。加えて、DHMOを摂取して48時間以内に死亡する人も後をたたない。それにもかかわらず、このDHMOは合法であり誰もが手にすることができる化学物質なのだ


▼何か恐ろしい話をしているようだが、実はDHMOとは「水」のことである。一部で有名なこの例え話は、いわば物事の印象操作を表していると言われている。水とは因果関係が直接ない事例についても、まるで因果関係が存在するかのような表現になっているのだ


▼言葉を読み取るというのは、簡単なようで実は難しいもの。インターネットなどでトラブルになる、いわゆる「炎上」と言われる現象の中にも、本人は何気なく発した言葉に対して、意図とは違う捉え方をされてしまうことが原因になっている場面も少なくないのだ


▼例えば、「猫はかわいい」という何気ない言葉一つであっても、捉える人によっては、「じゃあ犬は嫌いなんですか」とか「犬が嫌いだからって猫が好きというのは、あまりにも単純じゃないですか」といった意見も出てくるほどだ


▼冒頭のDHMOも、因果関係を理解せずに読み解いてしまうと、本来の姿を見誤ってしまう。また「猫はかわいい」の例文では、書いていないことを読み取ろうとしてしまい、結局は本質が見えていないのだ。言葉の一部や最初と最後だけで捉えず、冷静に言葉の意味や全体を理解することが大切なのだろう。(東京・CK)


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