コラム

2021/03/23

人も技術も移り行き(山梨・HI)

人も技術も移り行き


▼職業訓練生がこの春、2年間の養成課程を終えて学校を旅立った。卒業写真で見せた表情は入学式の頃とは違う。手に技術を身に付けた誇らしさを感じさせた。新年度も校内には新たな風が舞い込む


▼移り変わりはあっという間だ。携帯電話も誕生から約30年でスマートフォンまで進化を遂げた。建設会社や役場の人とたびたびこの話題で盛り上がる。「携帯をよく現場に置き忘れた」などの失敗談から始まり、あんなことこんなことがあったと懐かしい話に花を咲かす。最後は技術の進歩や未来の生活について予想し合う。これが王道パターン


▼AI(人工知能)やロボットが人間の仕事を奪う。一時期はテレビや映画、書籍と、いろいろな媒体で議論が盛んだった。実際どうなのだろう。確かにAIの導入で働き方は徐々に変わり、仕事によっては影を潜めていくものもあるかもしれない。ただ、マイナスな面ばかりではない。携帯電話の普及に併せ、関連したサービス業が台頭してきたように、AIも同じことが言えるのではないか


▼多くの産業が働き手不足で仕事に支障を来す中で、工事現場ではAIを使った交通誘導システムの試験運用が進む。この技術で警備員は従来の3人体制から1人体制に縮小できる。開発者は山梨県内の会社で、警備員の減少と高齢化が工事の進捗に影響する現状を打破すべく開発した。発注機関にはぜひ導入を考えてもらいたい


▼訓練校を筆頭に、職人の技能継承が大切とされ、建設業界にもAI化の波が押し寄せている。分業がうまく図られ、ドローンの台頭時と同様に、新技術が若い人の興味を引くことに期待したい。(山梨・HI)

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