コラム

2021/03/30

動物と働く建設業(長野・TT)

動物と働く建設業


▼「ウマはそこに置いて、もうトラで縛れ!」「ここで良いですか!」「もう少し右だ!」。先日、自宅近くの建物の外壁の補修工事が行われていたので、その様子を駐車場でぼんやり眺めていた。そのとき耳に入ってきたのが冒頭の会話。「ウマ?」一面アスファルトの駐車場のどこにいるの? と思いながら声のする方に目をやり探すが、姿はない


▼指示を受けた作業員が黄色と黒の虎模様ロープを手に一角を囲み始めた動作で何か別の物だと気付く。建設関係の専門紙で働く立場としては、真相を確かめねばと作業している方に「ウマ」は何か訊ねると、その現場では鉄筋を置く4本脚の作業台のことをウマの姿に似ていることから、そう呼んでいるという


▼ネコが丸まっている姿やネコのように狭いところにも入れることから、一輪車を「ネコ」。アスファルトを砕くときなどに使われる「ツル」。ツルのくちばしに形が似ていることから付けれた愛称だ。ナットを締めたり緩めたりするモンキーレンチを「サル」。動物ではないが、床に打設したコンクリートを均す道具を「トンボ」。ビルの屋上に設備配線を設置する際、防水のため作られた小屋は「鳩小屋」と呼ばれている


▼由来には諸説あるようだが、専門家集団が働く業界には個性的な道具が、その場で働く者でしか分からない独特な用語で親しまれている。現場の雰囲気を和らげたり、メンバーの団結にも一役買っているようにも見える


▼働く一人一人が安全についての意識をしっかり持てるように掛ける「ご安全に」とう言葉も、建設業界独特の掛け声のようだ。それでは今日も一日ご安全に。(長野・TT)

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