コラム

2021/04/01

東京一極集中は分岐点(東京・KK)

東京一極集中は分岐点


▼日本の首都東京都を中心に1都3県で構成する東京圏の人口は2018年で約3658万人となり、全国の約3割を占める。大阪圏や名古屋圏が横ばい傾向にある中、一貫して増加している。4月から期待と不安を胸に、新たに上京する人も多いことだろう


▼長年の懸案事項とされる東京一極集中問題。国土交通省の調査によると、東京圏に人口が流入する主な理由は「修学・就職のため」「魅力・利便性・自由度の高さを求めて」が多い。また一度東京圏に来ると地方に移住しにくいという環境も、東京一極集中が是正されない原因とされる。そんな流れが今後は大きく変わるかもしれない


▼新型コロナウイルスの感染拡大は依然として予断を許さない状況が続く。デジタル化や新しい生活様式の進展に伴いテレワークが普及し、職場と仕事を分離する動きもあり、働き方が大きく変わろうとしている。また40代までの若い世代を中心に地方移住への関心がさらに高まるとの予測もある


▼国交省の有識者懇談会は「豊かさ=賃金の高さ」からの意識転換が、東京一極集中を緩和する要素の一つと指摘した。東京圏は他地域に比べて通勤時間が長く、フルタイムで働く人の食事、睡眠、趣味といった可処分時間が短い傾向にある。居住スペースのゆとりが少ないことも地方との大きな違いだ


▼世界でも例を見ないほど首都圏に人口が集中した日本。地方創生、地域活性化が叫ばれるものの、あまり進んだ実感はない。真の豊かさの考え方は人それぞれだが、非接触・リモート化の流れの中でもやはり東京一極集中に回帰するのか。今まさに分岐点に立っている。(東京・KK)


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