コラム

2021/04/16

帰省はオンラインで(埼玉・TK)

帰省はオンラインで


▼コロナ禍で気軽に帰省ができなくなってから早くも一年が経過した。月末には春の大型連休が始まる。両親は「こんなご時世だがたまには顔を見せろ」と言ってくれるが、緊急事態宣言が明けたとはいえ予断を許さない状況は続いている。家族へ感染させるわけにはいかない以上、今年も「オンライン帰省」で済ませた方がいいのではないかとの考えが浮かぶ


▼オンライン帰省という表現は昨年生まれた。「帰省は控え、家族とはリモート通話で会おう」という趣旨の造語だが、個人的にはどうにも好きになれない言葉だ。インターネットがある現在、直接会うことこそかなわないものの、時間さえ合えばいくらでも親の顔を見る機会は作れる。しかし、そこに「帰省」という言葉を用いることには抵抗がある


▼家族や知人へ顔を見せることはもちろんだが、大人になってから改めて生まれ育った家で過ごす時間も同じく大切なものだと感じる。そこはさまざまな思い出が詰まった他の家とは異なる特別な空間である。ただ人と会うのではなく、家で過ごすという時間を経て初めて「帰省」といえるのだと思う


▼人の思い出は場所と密接に結び付いていると感じる。出会った人や出来事と同様、過ごした空間も人をつくっていく大事な要素である。そういう点で帰省は自分の原点に立ち返り、いろいろな物事を見つめ直すいい機会にもなる


▼ネットなどを見ると、帰省の雰囲気を出すために「家族で同じものを食べる」「ずっと通話をつなげっぱなしにする」など工夫する人もいた。少しでも実家の空気を味わうため試行錯誤してみるのも面白いかもしれない。(埼玉・TK)


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