コラム

2021/04/20

気付かれないプロの仕事(群馬・KO)

気付かれないプロの仕事


▼プロ野球・読売ジャイアンツ戦の場内アナウンスを44年間務めた山中美和子さんが今シーズン限りで引退する。王貞治選手の現役時代にもアナウンスを担当しており44年間という年月の長さに驚く。新たにアナウンス業務を務める、いわゆるウグイス嬢は800人近い応募者から3人が選ばれ、今シーズンから担当している


▼アナウンス業務を引き継ぐ際、山中さんはウグイス嬢の極意として「ファンの人に気付かれずに、一試合を終わるのが一番いいと思う」と言葉を掛けた。ファンの人が場内アナウンスの存在に気付くのはおそらくミスをした時。うまくいった時には逆に気付いている人はいないということらしい


▼建設業の工事でも同様に、気付かれない方がいい場合もあると感じたことがある。通勤などで使用する交通量の多い4車線道路。大型車の通行も多く、横断歩道や車線の白線は見えづらくなっていると感じていた道路がある日、舗装とともに区画線も見違えるほどきれいになっていた


▼気付かないうちに工事が完了していたのは夜間工事のおかげだった。日中は工事を行わず、われわれが就寝している際にも工事を進めてくれていたわけだ。通行止めや車線規制をしていれば、渋滞の発生も生じ、まだ工事をしているのかと思うこともあったかもしれない


▼道路だけでなく、商業施設や鉄道の工事も営業時間外の遅い時間や電車の運行が終わった後に行う作業など、利用者に支障が出ないように工事を進めることもあるだろう。建設業だけではないが、気付かないうちに誰かが活躍してくれていることに感謝して生きていきたいと思う。(群馬・KO)


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