コラム

2021/05/12

普及待たれる遠隔臨場(埼玉・SW)

普及待たれる遠隔臨場


▼関東地方整備局はインフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進として、2020年度から遠隔臨場を試行している。ウェアラブルカメラを活用し、リモートでの現場監督(遠隔臨場)を実施するもの


▼遠隔臨場は、移動時間や立ち会いの調整時間の削減が可能で、新型コロナウイルス感染症拡大防止にも寄与。ひいては建設現場の働き方改革、生産性向上が期待されている


▼19年2月に関東地方整備局の出先事務所において、遠隔診断を取材した。埼玉県内の橋長約7m、幅員約5mの小型橋梁を対象に、有識者が会場に集まって映像や音声などを確認した上で、アドバイスを行った。遠隔診断を行う前に、事務所の幹部が「いろいろな課題もあろうが、効率的に取り組むためにまず1回やってみて、より良いものにしていければ」と話した


▼対象橋梁は先の点検で、主桁に剥離・鉄筋露出、浮きが見られるほか、床版に剥離・鉄筋露出があり、早期措置段階と判定されていた。有識者は「可能ならば主桁下面、床版下面はより詳細に調査してほしい。すぐに問題が発生する可能性は低いが、さび止めなどの応急措置は必要。橋台は健全で、そのままの使用で問題ないと思う」などとの見解を示した


▼当時の記憶を思い返せば、映像や音声トラブルも少なくなく、会場の雰囲気からも「現実的ではないのかな」と感じた。だが今となっては、コロナ前に取材した遠隔診断は、時代の先駆けともいえる取り組みだった。リモートで済むのならば効率的となり、働き方改革や生産性向上にも好影響だ。遠隔臨場の普及が待たれる。(埼玉・SW)

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