コラム

2021/05/13

本当にやるのか(群馬・TH)

本当にやるのか


▼東京オリンピック(五輪)の開会式まで2カ月余りとなった。聖火リレーも進行しており、開催に向けて最終的な準備が進んでいることだろう。新型コロナウイルスに伴う1年の延期を経て、現在に至るわけだが、依然としてウイルスの猛威は止まらない


▼国際オリンピック委員会(IOC)は今月8日の時点で「大会の開催を阻止するものは何もない」と主張している。菅義偉首相もジョー・バイデン米大統領との会談で、開催に向けた決意を伝えた。一方で、東京都を含む1都2府3県が緊急事態宣言下にある。ワクチン接種も遅れている。このような状況で本当に開催できるのか、多くの国民が疑問を持ち、不安に思っているだろう


▼周囲の人に聞いても、各企業が行ったアンケートの結果を見ても、再延期・中止すべきとの声が多数を占める。中止に向けた署名活動も始まった。こうした世論に逆行してIOCや大会組織委員会が開催にこだわるのはなぜか。ずばり「金」の問題だろう


▼そもそも今回の大会は費用を抑えたコンパクト五輪とし、アスリートファーストを掲げた。想定外の障害が出たにしても、費用は右肩上がりに膨らんでいる。現在は投資を少しでも回収しようと躍起になるマネーファーストへ成り下がっているように映る


▼税金が投入されている以上、五輪も公共事業の一種だ。開催するのであれば、国民およびアスリートの安全確保に向けた対策を徹底し、広く伝えることが求められる。主催者が強力なリーダーシップを発揮し、国民の理解を得るために努力しなければ、開催したとしても後味の悪いものとなるだろう。(群馬・TH)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら