コラム

2021/05/19

災害対応と担い手(山梨・HI)

災害対応と担い手


▼うれしい知らせが飛び込んできた。2019年に台風で大きく損傷した国道橋に仮設歩道橋が架設され、周辺の小学校に通う児童の徒歩通学が再開したのだ。実に1年半ぶりのこと。小学生にとっての通学路とは新しい発見の連続。道中をぜひ楽しんでもらいたい


▼同案件は被災時から進捗(しんちょく)を追ってきた。発注機関と建設業界の迅速な対応に心強さを感じる。ことし3月には、富士山の麓と五合目を結ぶ富士スバルライン・石楠花橋(しゃくなげばし)で雪崩による橋桁損傷などが発覚したが、約1カ月で仮設道路の設置に至り、ゴールデンウイーク前の開通を実現させた


▼同じ時期には富士山噴火がもたらす被害予測が改訂となった。山梨県内では溶岩流の想定到達範囲が従来よりも拡大。取材中、溶岩流の進行を妨げる防災対策の推進を求める声を聞く。今後、富士山関連で新たな対応が始まるかもしれない。県をはじめ関係機関により迅速な方向性が提示されることに期待したい


▼復旧に防災と災害に関して建設業の担う役割は大きい。だが、技術者の不足、いわゆる担い手問題が将来に一抹の不安を残す。身近では、業者の減少による除雪作業の対応を課題とする意見もある。業界への入職促進には、専門学科や訓練学校など受け皿となる環境の充実が大切だろう。バブル時代よりも訓練校のある地域は少なくなり、学校統合による就職地の地域格差が生じているのは喫緊の課題


▼ハード対応に加え、将来の技術者を確保する面で、国のさらなる支援が進むことが期待される。業者からも切実な声が挙がっている。若手育成にも時間を要する。取り返しが付かなくなる前に。(山梨・HI)


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