コラム

2021/05/21

知ることの楽しさ(群馬・YT)

知ることの楽しさ


▼SNSに投稿された夜空に浮かぶ光の柱の写真。福井県で撮影されたというその幻想的な風景に多くの人が不思議だと思ったようだ。その後すぐに、この現象が漁船からの光が雲に反射して現れる漁火光柱(いさりびこうちゅう)だということが解説された


▼一見不思議な現象でも、その理由を調べると科学的だというものは多い。ツバメが低く飛ぶと雨というのも、餌となる虫が雨が近づくと高く飛べないから、という理由が付けられている。科学的な知見が少ない時代でも、積み重ねた経験で正しいものを表せるということだろう


▼子どもたちが素朴な疑問を寄せ、それに科学者たちが答えるラジオ番組「子ども科学電話相談室」。子どもは大きくなるのに、大人が大きくならないのはなぜかといった質問があった。子どもたちの経験の中には不思議が多くあるのだろう。経験が知ることの第一歩ということだ


▼一方で、経験だけで判断してしまうことで、惑わされてしまうこともある。大きな地震があるたびに、地震雲と呼ばれる前兆があったと話題になる。よっぽど質問が届いていたのか、気象庁がわざわざ「現時点では科学的な扱いは出来ていません」とホームページ上に書いている。また、ある科学者は「普段からもっと雲を見てほしい」と呼び掛けている


▼不思議なことを不思議で終わらせず、知ろうとすることが大切なのだろう。電話相談室の子どもたちが回答を得られた時のうれしそうな声を聞くと、知ることが楽しいのが分かる。大人になってからも知らないこと、不思議だと感じることは多い。その一つ一つを、ひもといていくことを忘れてはいけない。(群馬・YT)


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