コラム

2021/05/22

薄れゆく技術が映す1枚(茨城・YM)

薄れゆく技術が映す1枚


▼カメラが壊れた。新卒時代に奮発して買った一眼レフだが、ついに寿命が尽きたようだ。足掛け13年、仕事にはもちろん、海外旅行や趣味の登山などで使ってきたため、外装部の傷たちも味わい深い。と言っても、カメラに関する知識は一般人に毛が生えた程度。形から入って、形のまま終わってしまった


▼思い返せば、学生時代はフィルムカメラを使っていた。デジタルカメラやスマートフォンとは違い、現像するまで何が映っているか分からない。失敗した写真を見て、何回ガッカリしたことか。なるべく失敗しないように構図やフラッシュなどに悪戦苦闘したものだ


▼仕事柄、今もカメラとは切っても切れない関係にある。記者の中には構図や補正にこだわりを持つ人も少なくない。インタビューや表彰などで人物を撮影する時は緊張する。写真1枚で読者への印象が変わることに加え、半永久的に残される。ある意味で記事より奥深い


▼写真は工事現場においても、各工程や竣工時を記録する上で重要な役割を果たす。災害時には状況把握に一役買っている。写真1枚で第三者からの評価が決まるとしたら、担当者は工事も撮影も気が抜けないかもしれない


▼イメージ通りの写真を撮るには露出補正など最低限の技術が必要だ。しかし現代では、手軽さゆえに最低限の技術すら蔑ろにしているように思う。利便性の代償と言っていい。技術に裏付けされてこそ新しい1枚が見えてくるに違いない。仕事柄、今日も誰かを撮影する。やはり一眼レフを新調しよう。今度は撮影技術も、しっかり勉強したい。誰かにとって大事な1枚になるのだから。(茨城・YM)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら