コラム

2021/06/15

密になって完成品(東京・KK)

密になって完成品


▼ああでもない、こうでもない。久しぶりに童心に帰って無心で楽しんだと言うと少々大げさだろうか。目の前に無数に散らばる紙の小片をつなぎ合わせる作業に真剣に向き合ってみた。小学生の頃以来のジグソーパズルは、完成まで困難を極めた。生来の苦手分野なのか、それとも加齢による脳の衰えなのか。どちらも正解かもしれない


▼パズルは、とある業界団体の総会に取材で訪れた際にいただいたもの。家に持ち帰り、箱を開けずにしばらく放置していたが、緊急事態宣言の状況も相まって、珍しく挑戦してみようと思い立った。予想を超える難しさに驚きながらも、何気なく手に取ったピースが一発ではまった時の快感は想像以上だった


▼ジグソーパズルは右脳の機能を高め、記憶力を鍛えることにもつながるなど、子どもの教育効果が高く、注意力や観察力のトレーニングにも向いているとされる。確かに普段はあまり使っていないであろう脳の一部をフル回転させている感覚がある


▼悪戦苦闘すること数時間。ついに完成したパズルのデザインは、東日本大震災からの復興のシンボルとなる宮城県の「気仙沼大島大橋」と「気仙沼湾横断橋」。アーチ橋、斜張橋とタイプの異なる2本の橋梁が一緒に写り込んだ風景は、明るい未来を期待させる


▼ジグソーパズルは全てのピースが密集・密接して完成品となる。昨年来、人間同士に求められているソーシャルディスタンスとは正反対だ。多様な個性や能力を結集し、皆が協力することで大きな力になる。あるいは大きなものを作り上げる。最近忘れかけていた「密」の力を思い出させてくれた。(東京・KK)


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