2021/06/26
野菜が食卓に上るまで(茨城・AS)
野菜が食卓に上るまで
▼家庭菜園を始めた。ベランダ栽培ではなく、畑を耕して種をまいたり苗を植えたりする本格的なものだ。今年は畝幅2m×2本に8種類の野菜を植えた。ナス、キュウリ、トマト、オクラなど夏野菜の代表格ともいえるラインアップ。雨が降った次の日は驚くほどつるや茎が伸びている
▼畑作業を始めたのは2020年5月。初年度は土づくりから始まった。近くに住む大家さんに手伝ってもらいながら土を耕し、石や雑草を取り除く。肥料をまいて準備完了。苗を植えるときのこつや手入れの仕方を教わった。マルチと呼ばれる黒いビニールシートも敷いた。見た目は本格的
▼1人暮らし故に食費を抑えようと始めた家庭菜園。準備は万端。あとは収穫を待つのみというとき、最も収穫を楽しみにしていたカボチャの茎が折れた。囲いをしないと簡単に折れてしまうそうだ。初心者にカボチャの栽培は難しいらしい
▼種をまいて収穫するまで、わが子を育てるかのように愛情を込める。夏の暑い日の畑作業も、新鮮な自家栽培野菜を食べるためなら苦にならない。変形した野菜も、自分で作れば味は格別。形が悪いというだけで店頭に並ぶことのない野菜も多くあるそうだ。もちろん味は変わらない
▼一人暮らしの量でさえ手入れが大変なのだから、農業をなりわいとしている人の日々の苦労を想像すると頭が下がる。スーパーに並ぶ野菜は、農家さん一人一人の努力と工夫によって手ごろな値段で手に入るのだ。家庭菜園を始めて野菜を無駄にしてしまうことがほどんとなくなった。暑さや風と戦いながら私の野菜が食卓にの上る日を心待ちにしている。(茨城・AS)