2021/07/27
デジタル世代の受け皿(埼玉・MK)
デジタル世代の受け皿
▼仕事で車を運転していると、目につくのがスマートフォンを手に登下校する高校生たち。小さな画面を見つめながら自転車をこぐ姿も見かける。あんなに器用なことまでと驚く一方、さもありなんという気持ちに
▼2020年度版の情報通信白書によると、10~19年のスマートフォン世帯保有率は9・7%から83・4%に跳ね上がっている。高校生798人が対象の19年度調査では、98・6%が個人専用端末を持っていると答えた。「そういう時代」と納得せざるを得ない
▼建設現場向けアプリ開発も盛況だ。「SPIDERPLUS」を自社開発するスパイダープラスは教育現場に目を付けた。専門学校や大学、職業能力開発校にアプリを提供し、即戦力となる人材育成をサポート。25年度の建築・土木系新卒者のうち、アプリを使った後に就業する人材が3500人以上になることが目標だ
▼建設系学部を置く大学は、地元自治体と包括協定を結ぶことも珍しくない。学生にとっては現場経験を積む絶好の機会。例えば、埼玉県宮代町にキャンパスを有する日本工業大学では、宮代町に隣接する杉戸町と協定を結んでいる。杉戸町が学童保育室を新設した際、学生が設計のアイデアを考える場を設けた取り組みも
▼就業経験を積むのは学生が現場へ、という方向。現場向けアプリの提供は、いい意味で逆の流れを生み出す。現場に飛び込んでくる学生を待つのではなく、迎えに行く姿勢とも言えそうだ。スマートフォンやタブレットを文字通り肌身離さず生活してきた世代に対して、入職を待つ建設業界は「待ち」に徹してはいけない。(埼玉・MK)