コラム

2021/07/30

秘めた架け替えプロセス(新潟・HT)

秘めた架け替えプロセス


▼新潟県妙高市の国道18号で架け替えが進められる妙高大橋が、来月3日に供用を開始する。補修工事中の2009年12月1日に架け替えの契機となる主桁でのPCケーブルの破断が見つかった


▼当時、同橋を管理する国土交通省高田河川国道事務所は、すぐに別の橋梁で補強設計を担当していた建設コンサルタントに追加で調査を依頼。一報を受けた管理技術者が現場に急行した時には、まだ損傷した橋梁を一般車両が通行していた


▼同月7日には国土技術政策総合研究所や土木研究所などの現地調査の結果、すぐに落橋の危険は無いものの安全策として24時間の片側規制を開始。解除の見通しは安全性が確認できるまでとした


▼調査では目視や20tトラックを使った耐荷力試験などを実施。試験そのものは特別ではないが、使う部品が特殊で、すぐに必要。ましてや時期は年末。新潟県と長野県を結ぶ重要な幹線国道であり、交通を規制する影響は大きく、早期に安全を確認する必要があった。詳細な調査の結果、当面の安全を確認。通行規制が解除されたのは12月25日のクリスマスだった


▼妙高大橋でPCケーブルの破断が判明したのは、中央自動車道で笹子トンネルの天井板が落下するちょうど3年前の話である。幸い補修工事中に損傷が見つかり大事故には至らなかったが、発見が遅れていたら落ちていたのは妙高大橋だったかもしれない。当時の取材メモには「今回の事態が警鐘を鳴らす結果になれば」とのコメントが残る。現在では道路法改正で5年に1回の点検が義務付けられたが、新橋に架け替わっても、この出来事を忘れてはいけない。(新潟・HT)


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