コラム

2021/08/18

1000年越えて息づく(山梨・HI)

1000年越えて息づく


▼山梨県内の小学校で飛ばした風船が千葉県の個人宅にたどり着いた。思いやりの心を育むことを願った「人権の花」運動の一環で取り組んだもの。風船に添えた花の種は受け取った人が育てることに。直線距離にして約90km。山々から東京湾を越えた浪漫飛行だった


▼とある建設会社の社長が高校生を対象に講演会を開いた。これから社会に羽ばたく後輩に自身の仕事観をアドバイス。その中に興味深い話があった。人はなぜ、一つの場所(会社)に集まって仕事をするのか。社長は「いろんな人と意見を交わすため」と回答。時に衝突はあれど、何かを成し遂げるために大切なことと続けた


▼聖徳太子が制定したとされる十七条憲法には「和をもって尊しとなす」という言葉が記される。解釈には諸説あるが、同調ではなく議論を重ねた上の協調が物事の成就に結び付くという。1400年以上前の言葉が現代に息づくことに感嘆する


▼自治体の首長選では、市民の声を反映した行政運営を、という公約を目にする。本年度の予算では、まちの課題を考える住民組織の立ち上げ経費を盛り込む自治体も複数見られる。意見交換の場を作る動きが加速しているのだ


▼建設現場を訪れたとき、話は若手育成に。指導の尺度は昭和と令和で異なり、気を遣うことは多いという。だが、重要なことは変わっていない。何かを教える際には質問形式で理解度を確かめる。なぜ失敗したのか。どんなやり方がベターなのか。ある職人は「細かなやり取りが若手の成長を支える」と話す。工事の進め方や安全対策など、現場でも意見交換が重要な役割を担っている。(山梨・HI)

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