コラム

2021/08/19

今あるを考えてみる(長野・HK)

今あるを考えてみる


▼東京2020オリンピック競技大会が開催された。前々から指摘されていたとおり、いざ競技が始まれば「中止すべき」と唱えていた人々も、マスコミの手のひら返しにも便乗して連日放送されるテレビの前で声援を送る。このような状況を世界はどのように見ているのか


▼そのオリンピックでは柔道の活躍が目立った。日本のお家芸とされ、金メダルは当たり前との風潮がある中、選手の重圧は想像しがたいが、使命を果たしたときの感情爆発は手に取るように分かる。だが、2連覇を果たした大野将平選手は、試合後に表情を変えずに相手選手と健闘をたたえ合い、畳を下りてからコーチと抱き合い初めて表情を崩した


▼大相撲名古屋場所後に開かれた横綱審議委員会において、優勝した白鵬の土俵上での振る舞いに批判が上がったと聞く。千秋楽の優勝を決めた一番では何度かガッツポーズを披露したとか。土俵上では喜怒哀楽は表さず、淡々と仕切りを繰り返し相撲に集中する。そんな姿が相撲道として受け継がれているようだ


▼プロ野球のロッテや巨人などで活躍したかつての三冠王・落合博満氏は、ホームランを打っても涼しい顔でダイヤモンドを回った。なでしこジャパンが世界一を決めた時、味方の歓喜の輪に入る前に相手イレブンに駆け寄った宮間あや選手の行動が印象に残る


▼不要な考えまで思いを巡らせるとそれは忖度(そんたく)か。感謝の念を根底に相手を思いやる。今の自分がここにあるのは決して自身の力のみではないし、味わえる感激もしかり。混沌(こんとん)とする社会情勢に身を置いている者として誰のおかげで今があるのか。改めて考えたい。(長野・HK)


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