コラム

2021/08/21

新技術は世界を動かす(茨城・TO)

新技術は世界を動かす


▼加工性が高く、高性能、さらに環境にも優しい―。そんないいことずくめの新素材「改質リグニン」に注目が集まる。6月30日には、茨城県常陸太田市の宮の郷工業団地に新素材を製造する実証プラントが竣工した。今後の展開と製造の本格化に向けて期待が高まる


▼改質リグニンは日本固有の樹木「スギ」の中に含まれるリグニンの成分から製造される。熱に強く、加工しやすい利点を生かし、これまでに繊維強化材(FRP)が開発され、自動車の外装材やハイレゾスピーカーの素材として採用されている。また電子基板や、3Dプリンター基材などの製造技術も開発されるなど、産業界での需要も高まりを見せる


▼高性能もさることながら、森林資源由来の素材として、脱炭素社会・ゼロエミッションの達成や環境適合性にも目が離せない。全国の中山間地域においても木材産業の新たなビジネスモデルとして展開が期待される。技術革新によって2050年カーボンニュートラルの実現が加速していくだろう


▼国内企業の取り組みで、旭化成は二酸化炭素からリチウムイオン電池の電解液原料を製造する技術について、海外大手化学メーカーとライセンス契約を締結。三菱重工エンジニアリングでは「二酸化炭素回収装置」の供給に力を入れている


▼「新素材の持つ役割は世界を動かす大きな原動力になる」という竣工式で聞いた言葉を思い出す。新たな技術や少しのひらめき、行動で世の中が大きく変わることがある。レジ袋などを控えてみるのもきっと一助になり得るだろう。まずは意識を持つこと、そして行動を起こすことが大切だ。(茨城・TO)

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