コラム

2021/09/07

人材確保に公的支援を(山梨・OS)

人材確保に公的支援を


▼昔はお笑い芸人になりたければ、まずは落語家や漫才師などに弟子入り。師匠の身の回りの世話をしながら芸を付けてもらう。すぐに指導してもらえるならいいが、「見て覚えろ」という期間が長く続くことも。残った一握りの芸人のみ世に出ることができた


▼芸人への道筋が大きく変わったのは、吉本興業が芸人育成学校を設立したこと。1期生のダウンタウンをはじめ現在活躍する吉本芸人の多くが、この学校で学びデビューした。その成功を見て他の芸能事務所も次々と同様の学校を設立。学校から芸能界へという流れは多くの才能を業界へと導いた


▼群馬県沼田市に建設職人を育てる学校がある。他の学校と違うのは、国や県、地元の沼田市といった行政と地元の建設業者らが協力して設立したところ。廃校を利用しており遊休施設の活用にも寄与している。大工や左官、板金、瓦、設備、ドローンの各コースを設け、基本的な安全確認から工具の使い方、作業実習などを行う。訓練により実際の現場に飛び込むストレスを減らすことにもつながるという


▼注目すべきは、それが実質無料で受けられること。雇用保険加入者であれば、受講料の120万円(税抜き)だけでなく、訓練期間の約60日間に発生する賃金の一部を国・県が補助。送り出す企業の負担は大幅に軽減される


▼仕事ができないながらも現場に飛び込み、ときに先輩に怒られながら一人前を目指すもよし。学校で基本的な技術を学ぶという、ステップを踏んでから現場に入るのもよし。建設業の人材確保に向け、業界を知り、なじんでいく道筋は多岐にわたる方がいい。(山梨・OS)

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