コラム

2021/09/11

建設業も隗より始めよう(群馬・YT)

建設業も隗より始めよう


▼漢文の授業で習った方も多いであろう故事成語「先ず隗より始めよ」。言い出した者が、まずは物事に着手せよという意味になる。中国の戦国時代、燕という国の王が人材不足を嘆き、賢者を招くためにはどうすればよいかを郭隗(かくかい)という賢者に尋ねたことから始まった逸話のことを指す


▼郭隗は賢者を馬に例えて「馬の骨にすら大金を払うものがいれば、人々は生きた馬にはどれだけ支払うかと考え、こぞって良い馬を持ってくるでしょう」と話し「賢者を招きたいならまずは馬の骨ともいえる私から優遇してください。そうすればさらに優れた賢者が多く集まるでしょう」と王に訴えたというのがおおまかなお話。郭隗が多少したたかに見えるが、燕の国には賢者がこぞって集まったらしい


▼王が求めたのは馬の骨とは違い生きた人間。さらに言えば戦国という厳しい時代の中、国の命運を左右するほどの賢者である。多く集まった人間から真の賢者を見抜く力がなければ燕という国は瞬く間に傾いてしまっただろう。その後、名将が集まり栄えていったことを見るに、王の人を見る能力が高かったことがうかがえる


▼人材不足にあえいでいるのは現在の建設産業も同じ。しかも、多くの職業から建設業が選ばれるようにしなければならないという点では、中国の戦国時代にも勝るとも劣らない厳しい時代だ


▼現在、官民で協力して進められている働き方改革。週休2日制や建設キャリアアップシステムなどの積極的な運用はまさしく「隗より始めよ」となる。多くの賢者が建設産業に集まり、発展していくためにも改善の歩みを止めてはならない。(群馬・YT)


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