コラム

2021/09/14

世界は狭くなった(山梨・TN)

世界は狭くなった


▼中部横断自動車道の山梨県と静岡県を結ぶ区間が、8月についに開通した。この自動車道は中央自動車道の双葉ジャンクション(JCT)と新東名高速道路の新清水JCTとを結び、延長は74・3㎞。山梨と静岡は隣同士であるにもかかわらず、これまで高速道路でつながることなく、近くて遠い存在だったが一気に身近になった


▼対象区間の着工は1997年。工事を進めるに当たっては、糸井川―静岡構造線があり軟弱地盤などから難工事となり、当初の計画より約4年遅れの開通。完成までに24年を要した。また道路公団民営化の際には事業が一部区間で後回しになる可能性もあったというから、喜びはひとしおである


▼所要時間は、山梨県庁から静岡県庁まで1時間40分。自動車道とほぼ平行に走る国道を利用した場合に比べ、約1時間の短縮となる。人流や物流の便利さが増すだけでなく、災害時における代替道路にもなるため、大雨などで頻繁に陸の孤島となる山梨には、うれしい道だ


▼また静岡の清水港までの輸送時間が短くなることから、山梨特産のブドウやモモなど果樹の輸出量増加にも期待がかかる。さらに沿線の地元自治体では、工業団地などに大企業が新工場の建設を始めているほか、既存の工業団地も拡張する計画に着手。企業誘致に向けた候補地の調査に着手する自治体もある


▼「世界は狭くなった」というどこかで聞いたフレーズ。時代は変わり世界の人々の往来が増すことにより、新型コロナウイルス感染症など瞬く間に広がりをみせているが、コロナ後には力強い武器となるであろう明るい話題も欲しかったところである。(山梨・TN)


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