コラム

2021/09/23

恩賜林の存在とは(山梨・TH)

恩賜林の存在とは


▼恥ずかしながら恩賜林(おんしりん)の存在を記者になるまで知らなかった。今年は山梨県に恩賜林が誕生して100周年に当たる。明治天皇は、明治末期に県民生活を苦しめた大水害からの県土復興に役立てるよう、県下の御料地のほとんどを県に御下賜(ごかし)され、その森林が一般に恩賜林と呼ばれるようになった


▼恩賜林は木材供給をはじめ、県土の保全や水源涵養などさまざまな役割を担う。県有林は恩賜林が基になっており、そこで生産される木材は認証取得事業者が流通・加工を行うことで「認証材製品」として販売されている


▼認証材製品の使用は、国際的な課題である違法伐採による木材を排除し適切な森林管理を支援することになるため、海外での認証材の認知度は意外と高いらしい


▼しかし心配なニュースが3月ごろに流れた。「ウッドショック」である。世界的に木材価格が急騰した。アメリカや中国などでコロナ禍の対策として、住宅ローン金利を下げたことや在宅ワークの増加もあり、住宅需要が高まって輸入木材が調達しにくくなった。日本でも輸入木材に影響があり、国産材価格も上がった。コンテナ不足などで輸送もうまくいかない問題から、日本に木材が入って来ない、入ってきても価格が高いという状況が続いた


▼県内の木材関係者は「状況は解消されつつある。コストアップさえ了承すれば調達はできるようになっている」ものの「住宅市場への影響が今後も続くだろう」と警戒する。コロナをチャンスと捉える前向きな住宅関連業者の増加を願いたい。また県産材の品質をPRする良い機会でもある。改めて恩賜林の役割を見直していきたい。(山梨・TH)


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