コラム

2021/10/05

電車の広告表現(埼玉・YH)

電車の広告表現


▼今、この新聞を右から左へ読まれていることだろう。縦書きを右から左に読むという行為は、どうやら諸説あり、確かな理由はないようだ。漢文にならったためであるとか、巻き物を読む際に右手で引き出すため、読みやすいからなど。さらに、戦前においては横書きも右から左という順序だった。一行一文字という扱いなのだという


▼最近、電車内の広告で縦書きのものを見て驚いた。縦書きが左から右になっていたのだ。これには非常に違和感を持った。広告のデザインとしての意図があることは分かる。確かに見やすいものではある。しかし、いかがなものか。テレビ番組や街中の貼り紙ですら同様のものを見かける


▼縦書きが左から始まる国はあるのか調べると、モンゴルなど複数の国が当てはまるそうだ。また、インターネット上の書き込みには外国人は右始まりの縦書きと、左から始まる横書きが混同していて読みにくいという声もある。将来、日本語が変化を重ねて左から始まる縦書きになっているかもしれない。とはいえ現在も日本語は変化を繰り返している。誤用表現が正式なものとなることもある。若者言葉についてもそうだ


▼例えば「ワンチャン」。868本のホームランを打った王貞治氏のことではない。ワンチャンスを短縮した言葉だ。もしかすると可能かもしれないといった意味を持つ。この意味ですら、本来とは違った使い方のようだ。時代の変化は速い


▼今後、新聞や小説、国語の教科書も読み方が変わるかもしれない。だが、せっかく日本語を使うのだから、今ある表現を大切にしたいと電車内の広告を見て感じた。(埼玉・YH)

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