コラム

2021/10/13

鬼側なら桃太郎は侵略者?(埼玉・SW)

鬼側なら桃太郎は侵略者?


▼内容に興味を引かれたドラマが再放送されることを知り、食い入るように見た。NHKテレビの「昔話法廷」。「もし昔話の登場人物が訴えられたら?」という設定のもと描かれるドラマで、今回裁かれた被告人は桃太郎


▼昔話の空白部分に独自の解釈を加え、その後が描れていた。桃太郎は、犬と猿とキジを引き連れて鬼ヶ島に押し入り、持っていた刀で鬼1人を殺害、30人以上に重傷を負わせた上、鬼たちの財産を奪って村に帰還。強盗殺人の罪に問われる。証人として、殺された鬼の妻、桃太郎のおばあさん、桃太郎と一緒に鬼を襲った犬が出廷


▼事実を認める桃太郎に、検察官は「強盗殺人罪であり、凶悪な犯行は死刑が相当」と主張。一方、弁護人は「鬼の悪事におびえる村人を守るために、やむを得ず行った犯行だ」として極刑回避を訴える


▼双方の主張が繰り広げられる中で、検察官からの質問に対し桃太郎が衝撃的な告白を行った。番組を見た視聴者からは「子どもには見せられない」と否定的な意見があった一方、「同じ事件でも桃太郎、鬼、犬たち、村人、それぞれの捉え方があって、何が悪で、何が正義なのか」「現代社会の問題を上手く(うまく)落とし込んだ作品」など好意的な感想が多いような印象


▼この仕事をしていて常々思うことがある。それは、一方的な目線ではなく、複眼的な感覚で物事の本質を見る必要があるということ。この桃太郎も、鬼側から見れば「侵略者」かもしれない。人はとかく、目先のことにとらわれがちだが、ときに別の角度から見ることが必要な場合もある。番組を見ながら、つくづく実感した。(埼玉・SW)


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