コラム

2021/10/19

かもしれない、だろう(新潟・YY)

かもしれない、だろう


▼カラスが車道に木の実を置き、そそくさと路肩に移動した。そこから木の実の行く末を見守っている。車のタイヤで実をひいて殻を割ってあげようかと思ったが、「つぶれず、はじき飛ばしてしまうかもしれない」「タイヤを傷つけてしまうかもしれない」などの考えが頭をよぎり、避けることにした。カラスの賢さには感心するが、少々危険だ


▼慎重な「かもしれない運転」が推奨されている。前方の車が「急ブレーキをかけるかもしれない」、前触れもなく「進路を変えるかもしれない」と構えていれば自然と車間距離が空く。また子どもが近くにいたら「飛び出してくるかもしれない」と気を付けることで、おのずと徐行する


▼かもしれない運転の対義語として使われているのが「だろう運転」。日常的に車を運転する機会がある方なら「歩行者は信号を守るだろう」「見通しの悪い交差点だが飛び出しはないだろう」といった楽観的予測の結果、どきっとした経験が少なからずあるはず


▼これは車の運転だけではな、建設現場での安全対策にも通じる。ちょっとした作業だし「安全帯を付けなくても平気だろう」「重機の後ろに人はいないだろう」「積んだ資材が崩れることはないだろう」「体調はよくないが大丈夫だろう」…


▼硬い殻を割ろうとカラスが上空から落としたクルミに当たるなど、慎重を期しても避けられない事故もあるだろう。しかし考え得る危険の可能性を想定し、行動することで回避できる事故も多くあるかもしれない。時間に追われ、つい「~だろう」の思考になってしまうが「~かもしれない」行動を心掛けたい。(新潟・YY)


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