コラム

2021/10/29

実は身近な古民家(埼玉・MK)

実は身近な古民家


▼古い時代に建てられた農家や町屋などの民家を、特に「古民家」と呼ぶ。柱と梁(はり)を組み合わせた木造家屋を指し、古びて人影のないネガティブなイメージを想像する人も多いのではなかろうか。ところが最近、にぎわいを見せる古民家がある


▼茨城県大子町にある築150年の古民家「吉成邸」が、旬を迎える地元食材を生かした期間限定レストランに生まれ変わった。プロジェクトの萌芽(ほうが)は、町が4月に結んだ協定。地域活性化事業を手掛ける㈱さとゆめが地域活性化起業人派遣に乗り出し、その一環で古民家再生プロジェクトが立ち上がった。レストランは1カ月限定で営業している


▼提供するメニューには天然アユ、奥久慈しゃも、地元野菜などが並ぶ。瓦ぶき屋根やいろりといった風景は、今や貴重な光景となっている。訪れた人は貴重な経験として、料理の味と古民家の姿を記憶するだろう。町には、日本三名瀑に名を連ねる袋田の滝もあるが、なにより地域固有の資源を活性化に生かす気概をたたえたい


▼古民家再生を軸に置く地域活性化は、探してみると身近なところに存在する。カフェや宿泊施設に生まれ変わった例も見つかる。少なくとも関東近辺では、何年かかっても回り切れないほどだ。明治、大正といった時代を生き抜いた家屋がまとう存在感は独特。直しを入れて補強を施した古民家は、次の世代にも受け継がれる


▼古民家は「古くからある」民家のこと。見渡せば、どの地域にも古くから存在する魅力があるに違いない。真新しさに踊らされるだけで終わらず、地域固有の歴史を振り返る視点を忘れてはならない。(埼玉・MK)


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