コラム

2021/11/13

遊びをせんとや(新潟・CY)

遊びをせんとや


▼かねてより不思議に思っていることがある。忙しい人ほど目いっぱい遊んでいることだ。公職を多数兼務する某社長は、休みとなれば早朝から海へ繰り出す。釣りにマリンスポーツ、どんどん挑戦する。別の社長も多趣味で、マラソンにロードバイクときてついにトライアスロンに挑んでおられた。片や大手ゼネコンに勤める人は、仕事とは全く趣を異にするまち歩きのイベントを複数主催されている


▼皆さんいつ寝ているのかと思うほどだが、さらに驚いたことにその合間を縫って全国各地を飛び回っている。しかも、そういう方々に限って仕事ができるから恐れ入る。体を休めることと、心が湧き立つことがどうやら同居するらしい。平安末期の歌「遊びをせんとや生まれけむ」が神髄ではないかと感じる


▼昔、お世話になったベテラン記者のお供で実業家のインタビューに出掛けた。開口一番「いやぁ忙しくて」というその人に「時間は平等ですよ」と返すものだから、冷や汗をかいた。時間は平等―。故人となったその方の逸話は多いが、立て込んでくると必ず思い出す。その方も多趣味で、ほとんど定時に帰っていた


▼凡人には平凡な時間の使い方しかできない。できない理由は無限に見つかる。無理し過ぎない範囲でこれならできる、を探すことの難しさよ。しかし後者を実践している諸氏は若々しく、アイデアに富み、柔軟でいらっしゃる。動くことでさらに世界が広がっていく


▼今年もあとわずか。わが身を振り返ってみる。いくつ挑戦したか。より成長できたか。目いっぱい遊べたのか。故人に胸張って告げられることは果たしてあるのか。(新潟・CY)


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