コラム

2021/12/03

夢を後押しできる産業に(群馬・YT)

夢を後押しできる産業に

▼建設産業でも積極的になり始めた外国人材の活用。2019年に特定技能外国人の受け入れ制度がスタートし、9月末までに全国で3745人が国内で活躍している。人手不足が喫緊の課題として挙がる中、その解決策の一つとして注目を集めている。技術を磨くために故郷を遠く離れ、日本で活躍しようという気概には頭が下がる思いだ

▼異国で活躍するという点で歴史を振り返ると、日本人で最も有名なのは阿倍仲麻呂だろうか。百人一首にある和歌「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」で知っている方も多いだろう

▼今から1300年ほど前のこと。仲麻呂は若いころに遣唐使の留学生として唐に渡り、官職に採用された。長年働き続け、日本に帰国しようとしたところ乗っていた船が難破。命からがら助かったものの、帰国できずに唐で出世を続け、今でいうベトナムのハノイで市長のような役職に就き、生涯を終えた。詩仙と称される李白とも交流があり、帰国する船が難破した時には、亡くなったと思われ、追悼の詩を詠まれている

▼活躍の一方で、百人一首で詠んでいるのは異国の地で月を見ながら遠い故郷を思うもの。引き止められ続け、活躍を認められて喜ばしい反面、帰りたい気持ちを生涯持ち続けたことだろう

▼阿倍仲麻呂の時代から1300年。日本でも外国人材を受け入れ、活躍する場が整えられ始めた。日本で活躍し続ける、故郷に戻って培った技術を発揮するなど、日本へ来る理由は人によってさまざまだろう。建設産業はその人が持つ夢を後押しするような産業となってほしい。(群馬・YT)


厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら