県茨城港湾事務所大洗港区事務所は、クルーズ船の受け入れ環境を整備することを目的として、第4埠頭係留施設(岸壁)の延伸を計画している。現在、基本・細部設計を進めており、形状や工法などの検討を行っている。最短でのスケジュールでは、年度内に工事に係る補正予算を計上し、早期の着工を想定する。
大洗港の第4埠頭は、岸壁延長240m、水深マイナス8mで構成。クルーズマーケットのカテゴリーにおける「ラグジュアリー」、「プレミアム」などのクルーズ船の入港を可能とするため、岸壁を20m延伸し、延長260mを確保する。
設計業務については、エコー(東京都台東区)が担当。工程の短縮化を図るため基本・細部設計を一括で進めている。
検討内容の主なものでは、箱状の構造物(ケーソン)の底を掘削しながら、自重でケーソンを沈下させ、所定の支持基盤に到達させる「ケーソン工法」と、ドルフィン(作業台船)を海上に設置し、その作業台船内のドルフィンドックにケーソンを製作・設置して、ドックに注水することで船体を海中に沈め、ケーソンを海面に浮かせる「ドルフィンドック工法」などとなる。
茨城港へのクルーズ船はコロナ禍以降、増加傾向で2024年度は12隻(大洗港区7隻、常陸那珂港区5隻)となっている。うち外国船は過去最多となる6隻が寄港している。
第4埠頭をはじめとする中央地区では、受入環境整備のほか、背後観光スポットとの連携によるクルーズ船誘致や、港を中心とした交流拠点の創出にも取り組み、にぎわい拠点の形成を図っていく。