埼玉県八潮市で1月に発生した道路陥没事故を踏まえて国土交通省が設置した対策検討委員会が、第3次提言の骨子案をまとめた。骨子案では管路マネジメントに関する具体的な方策について、基本的な考え方を示している。今後は地方自治体にヒアリングを行い、検討委でさらに詳細を詰めて正式に提言を作成する。
検討委の提言を基に進められている下水道管路の全国特別重点調査では、8月に埼玉県行田市で点検作業中に作業員がマンホールに落下して4人が死亡する事故が起きた。この事故を踏まえ、骨子案では「作業安全の確保意識の徹底は最重要の前提条件」と強調している。その上で点検・調査の高頻度化、複数の調査手法を組み合わせた高度化、管路損傷のしやすさや社会的影響を考慮した点検・調査のメリハリを推進することとしている。
管路メンテナンス技術の高度化・実用化については、人が近づけない管路でも精度の高い点検・調査を可能とする技術開発、目視調査以外の大深度空洞調査、硫化水素発生など下水道の環境を認識して無人化を図ることを掲げた。技術開発と普及環境整備を進め、5年程度で実用化すべきとしている。
◎インフラ全般も「安全」
骨子案ではインフラ全般のマネジメントに関する基本的な方向性も示した。管路と同様に計画・設計・整備・修繕・改築など、全ての局面で「作業安全の確保意識の徹底」を掲げる。
新技術の導入やデジタル管理体制の早期確立など、技術面については管理者や事業者に対して「見える化」を推進。市民に対してもインフラ老朽化を「見える化」する。
さらにインフラマネジメントの仕事に光が当たるよう表彰制度や待遇改善の対策を掲げた。また市民がインフラメンテナンスに参加したくなるような機運醸成の必要性も指摘している。