インタビュー

2024/02/29

東日本建設業保証埼玉支店 原支店長インタビュー

 公共工事の前金払制度について、中間前金払制度の導入、業務委託への前金払制度の導入、前金払支払限度額の撤廃について、県内市町村で、導入が加速している。東日本建設業保証と建設業団体が協力して未導入の市町村への要望活動が功を奏した結果だが、特に令和に入った2019年度からの伸び率がアップ。新たに導入した自治体で早速多くの利用申し込みがあったり、利用事業者から高評価を得る声が聞かれることも、加速する要因の1つだと言える。さらに、一昨年5月から取り扱いを開始した電子保証も、支店扱い件数が900件を超えた。同社埼玉支店の原則彦支店長に現在の導入状況や今年の展望ついて聞いた。


【県内の中間前金払制度の導入状況】

 今年1月現在の導入状況は、63市町村のうち51市町、導入率は81・0%で、令和元年だった2019年4月と比較すると新たに13市町で導入された。山梨を含む関東地区1都7県(以下、関東地区)では、埼玉と東京以外は全ての市町村で導入されていることを考慮すると、埼玉県内も全市町村の導入が視野に入ってきた。

 それに比例して、利用件数も増えている。12月末ベースでみると21年度148件、22年度178件、そして本年度は185件。本年度は過去5年間でみると最高の件数。原支店長は「年明けから毎日のように中間前払保証のお申込みをいただいている」と浸透に手応えを感じている。続けて「県においても案内をしていただくなど、利用しやすい環境整備に努めていただいることも大きい。利用者からは『保証料が安い』『利用してみたら便利だった』という声もいただいている」と高評価。部分払いに比べると、受発注者双方の事務が軽減され、工期半ばで円滑な資金調達が可能という点が高く評価されているようだ。


【限度額を撤廃する動きについて】

 今年1月現在で限度額を撤廃しているのは37市町村で全体の58・7%。19年4月の15市町村23・8%と比較すると大幅に増えた。昨年10月には羽生市が、今年1月からは新たに和光市が撤廃した。関東地区では埼玉、東京、神奈川以外は全て撤廃されており、関東地整建政部でも昨年、「引き続き前払い金の支払い限度額の見直しの促進に向けて取り組みを進めていく」との姿勢を示している。原支店長は「撤廃されて4割満額受領できれば、着工時の資金調達の負担を減らすことが期待できる。前払率が高くなれば発注者にとっても一般管理費の補正係数を抑えることができるといったメリットもあるのではないか」と語った。


【業務委託の前金払制度の導入状況】

 今年1月現在で導入しているのは47市町村で導入率は74・6%。19年4月の31市町村49・2%と比較すると大幅に増加した。関東地区では、埼玉、東京以外は全て導入されている。県内の過去3年の市町村の年間利用状況を見ると、21年度343件、22年度397件、本年度は12月末時点で452件と、12月末時点ですでに昨年の年間件数を大幅に超えている。業務委託で前金払の活用が急速に広まっている状況が浮かび上がった。


【電子保証】

 同社は一昨年5月から、これまで書面で提供していた前払保証と契約保証の保証証書について、インターネット上で提供できる電子保証の取り扱いを開始した。国や県をはじめ、県内市町村は1月10日時点でさいたま・坂戸・秩父・上尾・横瀬の5市町、加えて坂戸・鶴ヶ島下水道組合、さいたま市都市整備公社で利用できる状況にある。原支店長は「一昨年5月の取扱開始から昨年12月末までの当支店扱いは900件を超えた。利用されたお客様からは『1日で手続きが完結してよかった』『他の発注者にも広まるとより便利になる』との声をいただいている」と話す。「電子入札から電子契約、電子保証と電子化が進めば、より効率化されるのではないか」と分析。引き続きPRに努める考えだ。

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