国交省大森雅夫審議官
良い企業が伸びる環境を
大森審議官就任インタビュー
国土交通省
国土交通省総合政策局の大森雅夫官房審議官(建設産業担当)は、本紙の就任インタビューに応じ
た。「建設業を取り巻く状況は非常に厳しい。ピーク時の84兆円という建設投資から、51兆円まで落
ちている。発注者側にできることは何かというと、より良い企業が生き残って、伸びていくような環
境にすること。これから業界の方々の意見を聞いて、肌で感じ、できることは積極的にやっていきた
い」と抱負を語った。
公共工事品確法については「価格と品質を合わせた競争というのは、考えてみると当然の話といえ
る。良い仕事をした企業が報われるように、工事成績や技術提案などの中身をよく見るということに
尽きる」と考えを述べた。
品確法にも関連する予定価格上限拘束性に関しては、「品確法によって、提案を受けてから予定価
格を作成することも可能になった。会計法という枠の中で何ができるのかを考えることは重要。今ま
でに比べ、確実に一歩進んでいる」との認識を示した。
「団塊の世代」退職などに伴い危惧されている、技能労働者の熟練技術継承に関しては、「建設業
の実情は、過剰供給になっている。そうすると当然、下請け業者にしわ寄せがいくことになり、労働
条件が悪化する。その結果、若年者が入らなくなる」という悪循環が根本的な問題だと指摘。環境改
善に、強い意欲を見せる。
建設投資が縮小している公共事業の、将来のあり方については、「今は、公共投資制約論が非常に
強くなっている。ただ、大きな流れというのは必ずどこかで底をうつもの。今後また、社会資本整備
の必要性は必ず叫ばれてくると思う」と述べた。
【略歴】
昭和29年生まれ。52年入省。建設経済局建設業課長補佐、道路局路政課長、道路局総務課長、内閣
府大臣官房会計課長などを経て、9月より現職。