国交省北側大臣
道路特定財源を本格議論
建築基準法は見直しへ
耐震化を地方と推進
北側国土交通大臣
新春インタビュー
国土交通省の北側一雄大臣は、平成18年新春を迎えるに際し、日本工業経済新聞社が加盟する、同
省建設専門紙記者会のインタビューに応じた。北側大臣は、改正した耐震改修促進法に基づき地方と
一緒に、地震対策の耐震化を強力に進めていくと語った。道路特定財源については、一般財源化を前
提として、今年、議論を詰めると語った。また昨年から続く構造計算書偽造問題に関しては、「建築
確認行政への信頼が揺らいでいる」と危機感を募らせ、建築基準法、建築士法を見直す必要があると
見解を述べている。国土交通省は今年、一般競争入札、総合評価方式を大幅に拡大することになって
おり、入札契約制度も、一大転換期を迎える。
北側大臣との一問一答は次のとおり。
―安心・安全な国づくりを踏まえた今後の社会資本整備について
北側大臣 国民が安全で安心して暮らせる生活基盤の整備は、現在強く求められている政策であり、
実現するための基盤として、社会資本整備の必要性は極めて高いと考えている。我が国は歴史的に、
そもそも災害の多い国土。災害に強い国土づくりは一番の課題で、今に始まったことではない。地震
対策としては、先に改正を行った耐震改修促進法に基づき、スケジュールを組んで地方と一緒に、強
力に耐震化を進めていく。税制改正要望での耐震改修促進税制は、国土交通省の主張がほぼ満点とな
った。所得税が、工事に要した費用の10%控除となる。耐震改修を推進していく上で、大きな税制改
正ができたと思っている。基本方針を今年早々に定め、地方自治体も、夏ごろまでにそれぞれの計画
を取りまとめていただきたい。
―道路特定財源の行方について
北側大臣 先般、政府・与党の基本方針がまとまったが、本格的な議論はこれからとなる。一般財源
化を前提とし、夏に向けて詰めていく。一番大事なことは、納税者の理解を得つつ、進めていかなけ
ればならないということ。
―仮称・住宅基本法の制定を見据えた今後の住宅政策は
北側大臣 仮称・住宅基本法は、今年の通常国会に、ぜひ提出させていただきたいと考えている。住
宅を大量に供給していく時代を経て現在、住宅の「量」そのものは充足しつつある。大きな転換が必
要で、既存ストックの活用・再生に軸足を変えていく。また住宅の供給・管理・流通にわたり、市場
機能の活用を重視する。それに加えて、住宅に困窮する方々へのセーフティネットをきちんと確保し
ていくことは、これからも国の大きな責任だと考えている。
―構造計算書偽造問題については
北側大臣 消費者としての住宅購入者をいかに守っていくかということは、とても大事な視点。もう
一度、きちんと議論する必要がある。今、建築確認行政に対する信頼が揺らいでいる。建築基準法の
あり方をしっかり見直すとともに、建築士法についても改善する点があると思っている。
―少子高齢化や景観などを踏まえた、今後のまちづくりは
北側大臣 少子高齢化が進む中、まちづくりのあり方が、従来のままで良いとは思えない。人口増加
と都市の成長を前提とした拡散的な都市構造を見直し、中心市街地の再生などにより、必要なものは
すべて居住空間にある、というまちづくりが必要。またこれからは、環境や景観などを重視する方へ
、国民の皆様の価値観も変わってくると思う。まちづくりは、その土地の歴史や文化に根ざされてい
るべき。
―建設業の再編・再生について
北側大臣 公共事業は、減ることはあっても増えることはない。建設投資はピーク時の約6割に減っ
ている。過剰供給構造は明らかで、再編はしっかり進めなければいけないと思っている。大手ゼネコ
ンについては再編の動きが進行しているが、比較的公共事業への依存度が高い、地域の中小・中堅企
業は、厳しい状態となっている。中小・中堅建設業は、基幹産業として多くの就業機会を提供するな
ど、地域の経済・社会の発展に欠かすことのできない役割も担っている。また災害時における迅速な
対応は、早期復旧を図る上で不可欠であり、地域再生の観点からも、中小・中堅建設業の再生は極め
て重要だと考えている。不良・不適格業者の排除、ダンピング防止を図り、新分野進出などの環境整
備を進めていく。
―入札契約制度のあり方は
北側大臣 過剰供給構造に陥っているため、ダンピング受注の増大や工事の品質低下への懸念など、
現在、色々な問題が顕在化している。技術と経営に優れた企業が伸びる環境を整備することが重要。
企業の総合的な能力による競争が図られ、より良い仕事が次の仕事につながる、「良い循環」を構築
することが求められている。手続きの透明性・客観性が高い一般競争入札の改善・拡大を図り、総合
評価方式を拡充していくことが必要。今年は、予定価格2億円以上の工事まで一般競争を拡大する。
総合評価方式についても、5割超で取り組んでいく。
―今後の不動産業の再編・再生については
北側大臣 景気が回復してきたと言うものの、資産デフレは変わっていない。資産デフレを克服して
、不動産市場を活性化していくことが重要。そのために、消費者への情報提示の推進、不動産証券化
手法の活用など、市場の活性化に向けて工夫をしていく。