国交省前川技術調査課長就任インタビュー
「現場の仕事が大事」
良い提案を繰り越せる仕組みも
前川技術調査課長就任インタビュー
国土交通省
国土交通省の前川秀和(まえかわ・ひでかず)技術調査課長は、日本工業経済新聞社の就任インタ
ビューに応じた。前川課長は建設生産システムについて、「現場の仕事がうまくいくことが大事。昔
は発注者と現場代理人のコミュニケーションが取れていたが、今は希薄になっている。良い仕事をす
るためには、コミュニケーションが不可欠。設計の考え方を共有していないと、良いものができるは
ずはない。透明性のある形でコミュニケーションを取る仕組みが必要」と語っている。
また「一般競争へ発注方式が変わったので、検査の部分を強化しなければいけない。出口のチェッ
クをきちんとする」と述べた。
これから本格化する総合評価方式のフォローアップについては、「今、各整備局で特色を持って取
り組んでいる。持ち寄って情報を共有することが大事。その工事限りではなく、結果を次の総合評価
に反映できるように。良い提案をしたことが基礎点のような形で積み上がっていって、繰り越せるよ
うな仕組みができればと考えている。逆に、標準案ばかりだとマイナス点といった風に」と話した。
総合評価方式の市町村支援については、「きちんとやらないと補助金をもらえないというような方
向に持っていくことが一つ。また、補助事業では(総合評価方式の実施に要する)費用をみていくこ
とになっている。研修や講習会も含め、技術的な支援と金銭的な支援の両方が必要」と述べた。
前職の関東整備局企画部長時代に始動させた品確技術者制度に関しては、「すでに半分くらいの整
備局で開始している。残りの整備局も、今年度中にはやってほしい」と意欲を示している。
また設計・コンサルタント業務における今後の契約方式については、「財務省と包括協議をして、
今年度後半からは総合評価方式を多くできればと考えている。コンサルタント業務は、工事以上にい
ろいろなものがある。業務の幅の広さに応じて、いろいろな方式があると思っている。プロポーザル
も優れた制度だし、プロポーザルと総合評価方式を組み合わせたようなものがあってもよいと思う。
また、コンサルタントには得意分野、特色を出してもらいたい」と語った。
地方業者の疲弊度、今後のあり方については「関東整備局の意見交換会で各地を回ったが、去年に
比べて今年は一層困っていると肌で感じた。地域に健全な建設会社が残っていることが大事。まず、
発注者が社会貢献活動を評価することが大切。また、一般競争入札でもランクや地域の条件を付けた
工事を出していく必要がある」と見解を述べた。