インタビュー

2008/01/01

冬柴国交大臣新春インタビュー

◎ただし、ダンピングNO

◎がんばる人生き残る政策を

◎冬柴国土交通大臣新春インタビュー


 冬柴鐵三国土交通大臣は、平成20年新春を迎えるにあたり、日本工業経済新聞社が加盟する同省

建設専門誌記者会のインタビューに応じた。厳しい冬の時代が続く建設業界に対して「色々と改善を

図り、値段だけでなく、地域貢献度などを考慮し、その人たちが受注できるような総合評価落札方式

に切り替えている。ただしダンピングはいけない。がんばる人が、あるいは技術力があって経営のし

っかりしている所が生き残っていけるような、政策をしていきたい」と語った。

‐‐建設業の再編・再生について

冬柴大臣 平成10年の公共事業予算は14兆9000億円あったが、去年は6兆7000億円しか

ない。今年はもう少し削られている。今まで公共事業を頼りに60万社とか小さな建築土木の会社が

ほとんだだった。民間需要はまだまだあるが、それは3大都市圏とかで、それ以外の地域は大変厳し

い。建設業は、大変厳しい冬の時代が長く続いている。これをなんとか改善するために、随意契約と

かでなく6000万以上のものは競争入札でやろうと。できるだけ地方も総合評価落札方式を採用し

、値段が安いだけでなく、その地方に本店がある、その地域の人に雇用機会を与え何人の従業員を要

しているのか、今まで震災などがあったときの復旧・復興などに貢献したかなどを配慮して、その人

たちが受注できるような方式に切り替えている。ただし、ダンピングはいけない。めちゃくちゃ安く

する、これはできないという場合には、立入検査などをやり、材料費はどうなっているのか、労働者

の賃金は、下請にはどう払うのか、全部調査させていただく。そういう中で、がんばる人が、あるい

は技術力があって経営のしっかりしている所が生き残っていけるような、そういう政策をやっていき

たい。その中で合併をしたりと、我々が進めるというよりも自然にそうなっていくだろうと思う。合

併によって集約していくことも必要であろうと思っている。

‐‐今後の地域づくり、国づくりの方向性について

冬柴大臣 今年は全国計画が出来る。それを受け、広域地方計画を作っていく。広域地方計画は、府

県境を超え、広いエリアでどうするのか。日本は、本格的な人口減少社会に入り、高齢化に拍車がか

かる。このままに内に閉じこもっていると、日本の経済は収縮してしまう。そのためにも例えばアジ

アの活力を取り入れなければ。全国計画を目標にしながら自分のエリアをどうするのか、国主導でな

く地方主導、民主導でつくっていく。東北全体で見た場合、どういう幹線道路が必要か、日本海沿岸

、東北自動車道など県境で切れている。そこを東北ブロックで見るとどうか、考えて欲しい。前回は

国主導だったが、今回は地方主導そして民主導になる。そういう意味では、今年はまさにスタートの

年。立派な広域地方計画をそれぞれ作っていただいて、これからの国づくりの方向を示してもらえば

、国土交通省として応援していく。

‐‐洞爺湖サミットを控え、地球温暖化防止に向けた取り組みは

冬柴大臣 やはり自動車が走ればCO2が出る。これをどう低減するか。自動車単体の対策は色々な

研究に対しても助成し、今リットルあたり13?走る。日本の自動車は、8割がそこまできている。

これをもう少し伸ばし、16・8?までと目標を立てている。交通流では、時速60?で走っていれ

ば、いちばんCO2の排出が少ない。ところが道路が切れたり、渋滞などになるとアイドリング状態

になりCO2の排出が多くなる。スムーズに走れる道路を整備する、これは大きなCO2の縮減に繋

がる。住宅の建築関係も、断熱材を入れる、窓を2重ガラスにする、ひさしを出して西日を避けるな

どでずいぶん違う。60度まで上がる屋上が30度ぐらいにまで下がる。またボトルネックとなって

いる踏切も、連続立体交差によって渋滞も大きく解消できるだろう。今年は、洞爺湖サミットで恥を

かかないよう、そしてリーダーシップを発揮できるように国土交通省としてもがんばってやっていく

‐‐少子高齢化や景観などを踏まえた今後の中心市街地のあり方について

冬柴大臣 例えば歩いて暮らせるまちづくり、コンパクトシティーという言葉を聞かれると思います

。病院とかシティーホール、大きなスーパーが郊外に出てしまうと自動車で行くようになる。そうい

うものをもう一度中心の市街地に戻す。自分の足で病院に行け、買物もできる都市機能を中心に固め

る。郊外にでて中心市街地がみなシャッター通りとなっていたものの賑わいを、もう1度都心に戻し

たい、そういうまちづくりをしたい。


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